あゝ名盤 シングル編② 「いまのキミはピカピカに光って」斎藤哲夫

 

斎藤哲夫「いまのキミはピカピカに光って」(1980年6月1日)
A面「いまのキミはピカピカに光って」
作詞 糸井重里
作曲・編曲 鈴木慶一

 

B面「シングソング心のままを」
作詞・作曲 斎藤哲夫
編曲 後藤次利

 

1980年、宮崎美子さんがはにかみながら木陰でジーパンとTシャツを脱いでビキニなるCMがあった。ミノルタ一眼レフカメラ「X7」のTVCMで、このCMは話題になり宮崎美子さんがブレイクするきっかけになった。というわけでこれに便乗して、このCM曲は急遽レコード化される事になった。

 


元々CM曲として企画されたもので、CMで流れるサビの一節「いまのキミはピカピカに光って~♪」くらいしかなかった。15秒くらいしかない曲を後から付け足し、なんと3分32秒の曲にしてシングルレコードとしてリリース。最高オリコン9位を記録するヒットとなった。
作詞はコピーライターの糸井重里さん、作曲はムーンライダーズのメンバーの鈴木慶一さんが担当した。たぶん、作詞・作曲をした2人にとって予想外のヒットだったと思うが、1番驚いたのはこの曲を歌った斎藤哲夫さんではないかと思う。斎藤哲夫さんはシンガーソングライターで、あまり他の人が作った歌を歌わない。「いまのキミはピカピカに光って」は作曲した鈴木慶一が友達だから歌ったのだろう。たぶんそんなに深く考えずに歌ったであろうCM曲を歌いヒットするとは予想外だったと思う。

 

斎藤哲夫さんは「いまのキミはピカピカに光って」がヒットした1980年から10年前、1970年にデビューしている。デビュー当時、18歳なのに「悩み多き者よ」といった何やら難しそうな老成した歌を歌い、「フォーク界の哲学者」と言われた。
でも、そんな堅苦しい歌をずっと歌い続けていたわけではなく1972年リリースした「バイバイグットバイサラバイ」あたりからポップなサウンドになり始めた。「フォーク界の哲学者」と言われた「悩み多き者よ」の頃の作品も良いけれど、「バイバイグットバイサラバイ」以降のポップな斎藤哲夫さんの作品のほうが個人的には好きだ。その後もヒット曲はないけれど、シンガーソングライターとして地道に活動を続け名曲を生み続けていた。そして1980年、オリジナル曲ではないCM曲がまさかのヒット・・・

 

本人にとっては不本意だったかもしれないけれど、「いまのキミはピカピカに光って」は斎藤哲夫さんに実は合っていた曲だと思う。「いまのキミはピカピカに光って」は斎藤哲夫さんがそれまで生み出していたポップな感覚な音楽とかけ離れた作品ではないし、何となく繋がる部分があるんじゃないかと思う。実は相性が良かったというのもヒットした要因かもしれない。


実は僕は大学生の頃、斎藤哲夫さんのライブに行った事があるのだが「いまのキミはピカピカに光って」は歌わなかった・・・と記憶している。やっぱり、複雑な思いがあるのだろうか。

 

B面「シングソング心のままを」は斎藤哲夫さんのオリジナル曲。そうそう、これが「シンガーソングライター斎藤哲夫」の音楽。「いまのキミはピカピカに光って」の裏に隠れた「斎藤哲夫の世界」

 

「いまのキミはピカピカに光って」・・・ただのCMソングのシングルレコード化じゃなくて、実はこんなにも奥の深い1枚なのだ。