あゝ名盤 アルバム編④「三階建の詩」かぐや姫

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かぐや姫「三階建の詩」(1974年3月5日/日本クラウン/PANAM)

 

A面
1.人生は流行ステップ 作詩:山田つぐと  /作曲:南こうせつ  /編曲:石川鷹彦

2.22才の別れ 作詩・作曲:伊勢正三  /編曲:瀬尾一三

3.あの日のこと  作詩・作曲:山田つぐと /編曲:石川鷹彦木田高介

4.南風知らん顔  作詩:伊勢正三  /作曲:南こうせつ  /編曲:石川鷹彦

5.君がよければ  作詩・作曲:山田つぐと  /編曲:瀬尾一三

6.赤ちょうちん  作詩:喜多条忠  /作曲:南こうせつ  /編曲:石川鷹彦

 

B面
1.雨に消えたほゝえみ  作詩:喜多条忠  /作曲:南こうせつ  /編曲:木田高介

2.うちのお父さん  作詩・作曲・編曲:南こうせつ

3.なごり雪  作詩・作曲:伊勢正三  /編曲:瀬尾一三

4.おまえのサンダル  作詩:喜多条忠  /作曲:南こうせつ  /編曲:木田高介

5.この季節が変われば  作詩:伊勢正三  /作曲:山田つぐと  /編曲:木田高介

6.こもれ陽  作詩・作曲:山田つぐと  /編曲:瀬尾一三

 


神田川」(1973年9月20日)の大ヒットにより、かぐや姫(南こうせつ山田パンダ伊勢正三)は大ブレイクしました。
そこで、リーダーのおいちゃん(南こうせつ)は「メンバー全員に平等に印税が入るように」平等な曲作りを提案します。
それまで一番多くの曲を作っていたのが、おいちゃんでした。パンダさんはすでにオリジナル曲を何曲か発表していましたが、正やん(伊勢正三)は作詞はしても作曲はしていませんでした。おいちゃんに作曲もするように言われた正やんがこのアルバムの為に書いてきた作品がなんと「なごり雪」と「22才の別れ」でした。
おいちゃんもパンダさんもこれには驚きます。おいちゃんは「なごり雪」「22才の別れ」をシングルにしようと思ったらしいですが、レコード会社の意向と映画化の影響で「赤ちょうちん」がシングルになります。
本人達はかぐや姫=「神田川」のイメージからの脱却を図りますが、その後もレコード会社の意向と映画化の影響で「」(1974年5月20日)がシングルになるなど、本人達の意向が反映されない事が続きます。こうして、かぐや姫は解散に向かっていくのです。(1975年4月12日解散)

 

後に「22才の別れ」は正やんと元・猫のメンバーだった久保やん(大久保一久)が組んだフォークデュオ・風のデビュー曲としてシングル化され大ヒットしました。
一方、「なごり雪」はイルカさんがカバーし、大ヒット。現在ではイルカ=「なごり雪」のイメージが世間一般的には強いかもしれません。


三階建の詩」ですが、メンバーそれぞれの個性が打ち出されたアルバムになりました。
それぞれの世界観が確立され、結果的に解散後の活躍が予感される作品です。
特に僕の大好きな正やんのシンガーソングライターとしての才能が開花した記念すべきアルバムです。

 

 


A面
1.人生は流行(はやり)ステップ  作詩:山田つぐと  /作曲:南こうせつ  /編曲:石川鷹彦
リード・ボーカル:南こうせつ
軽快なポップナンバー。
つま恋コンサート(1975年8月2日〜3日)かぐや姫1st.ステージの1曲目として有名。


2.22才の別れ  作詩・作曲:伊勢正三 /編曲:瀬尾一三
リード・ボーカル:伊勢正三
正やんの代表作。切ないアコースティックギターの音色に涙、歌の内容に涙。ハマるとやみつきになる曲です。
当時から評価は高く、シングルカットの要望もありました。しかし、当時はかぐや姫のシングルとして発売される事はありませんでした。
後に正やんが元・猫の久保やん(大久保一久)と結成したフォークデュオ・風のデビュー曲として新たに録音、1975年2月5日シングルとして発売され大ヒットしました。
ちなみに・・・かぐや姫バージョンは1984年、日本TV系列で放送された倉本聰・脚本のドラマ「昨日、悲別で」のエンディングテーマに使用され、1984年3月20日シングルカットされました。


3.あの日のこと  作詩・作曲:山田つぐと  /編曲:石川鷹彦木田高介
リード・ボーカル:山田パンダ
でもあれほど美しいと思った 君の笑顔を なぜか思い出せないのです 今は
からっぽになってしまった心にパンダさんの歌声が優しく染み込みます。


4.南風知らん顔  作詩:伊勢正三  /作曲:南こうせつ  /編曲:石川鷹彦
リード・ボーカル:伊勢正三
当時、正やんが飼っていたダックスフント犬・影丸の声が収録されています。
ほのぼのした曲。


5.君がよければ  作詩・作曲:山田つぐと  /編曲:瀬尾一三
リード・ボーカル:山田パンダ
明るいポップナンバー。
のびのびとした田舎の風景が目に浮かびます。


6.赤ちょうちん  作詩:喜多条忠  /作曲:南こうせつ  /編曲:石川鷹彦
リード・ボーカル:南こうせつ
レコード会社の意向でシングル(1974年1月10日)発売された曲です。別に嫌いな曲ではないし、これはこれで良い曲なのですが、内容は「神田川」の二番煎じ的な雰囲気。
22才の別れ」や「なごり雪」でなく、「赤ちょうちん」がレコード会社の意向でシングル発売された事が、かぐや姫解散を早めた要因の1つと言われています。

 

映画「赤ちょうちん」(監督:藤田敏八/日活)は1974年3月23日に公開されました。映画は歌詞の内容と全然違っており、初めて観た時は驚きました。かぐや姫というより、藤田敏八監督の世界になっており、個人的に好きな映画です。


B面
1.雨に消えたほゝえみ  作詩:喜多条忠  /作曲:南こうせつ  /編曲:木田高介
リード・ボーカル:南こうせつ
1974年4月6日公開された映画「神田川」(監督:出目昌伸/東宝)の挿入歌として使用されました。この曲が流れるシーンは映画「神田川」の中でも特に印象に残ります。


2.うちのお父さん    作詩・作曲・編曲:南こうせつ
リード・ボーカル:南こうせつ
おいちゃんのお父さんを歌った楽しい曲。
愉快な光景が目に浮かびますね。


3.なごり雪  作詩・作曲:伊勢正三  /編曲:瀬尾一三
リード・ボーカル:伊勢正三
正やんの代表作。後にイルカさんがカバーして1975年11月5日シングルで発売、大ヒットしましました。
正やん自身もかぐや姫、風、ソロになってからもずっと歌い続けています。
正やんもイルカさんバージョンもどちらも素晴らしい。


4.おまえのサンダル  作詩:喜多条忠  /作曲:南こうせつ  /編曲:木田高介
リード・ボーカル:南こうせつ
神田川」のアンサーソング・・・のような曲。「神田川」は女性目線でしたが、「おまえのサンダル」は男性目線。
神田川」と同様、バイオリンの音が切ない。


5.この季節が変われば  作詩:伊勢正三  /作曲:山田つぐと  /編曲:木田高介
リード・ボーカル:伊勢正三
シングル「赤ちょうちん」のB面曲。
四季の風景を詩情豊かに歌っています。


6.こもれ陽  作詩・作曲:山田つぐと  /編曲:瀬尾一三
リード・ボーカル:山田パンダ
パンダさんの歌声は暖かくて優しい。
ゆったりした曲の中に喜びと哀しみが表現されています。
パンダさんの名バラードによって、このアルバムは深い感動に包まれて終わります。

 

 

 

このアルバム以前はかぐや姫と言えば「南こうせつ」の色が濃いのですが、ここから「山田パンダ」「伊勢正三」という個性的なメンバーも目立ち始めます。今回紹介したアルバム「三階建の詩」はかぐや姫のターニングポイントになった作品です。
かぐや姫のメンバーで最も変化したのは正やんです。音楽性はもちろん、外見も。笑
このアルバムで「22才の別れ」「なごり雪」を生み出した正やんはさらに大きく飛躍していく事になります。

 

 

 

 

 

かぐや姫22才の別れ

1978年、再結成の時の映像。

何とこの時はエレキバージョンで「22才の別れ」を演奏しました。

かっこいい!


22才の別れ かぐや姫 (エレキ)