あゝ名盤 シングル編⑲「あの素晴しい愛をもう一度」加藤和彦と北山修

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加藤和彦北山修「あの素晴しい愛をもう一度」(1971年4月5日/キャピトル、東芝音楽工業)

 

A面「あの素晴しい愛をもう一度」
作詞:北山修
作曲:加藤和彦
編曲:葵まさひこ

 

B面「僕を呼ぶ故郷」
作詞:北山修
作曲:加藤和彦
編曲:葵まさひこ

 


ザ・フォーク・クルセダーズ(通称:フォークル)解散から約2年半後、フォークルのメンバーだった加藤和彦さんと北山修さんの2人の連名で発表された作品です。
本作のシングル盤の歌詞カードに北山修さんの「25才を前にして」という文章が掲載されており、そこには「あの素晴しい愛をもう一度」の制作経緯が書かれています。

 


私の親友、加藤和彦君がカナダのバンクーバーで愛妻光子さんと結婚したのは昨年の7月30日でしたが、その時、私は大切にしていた詩の一つを二人にプレゼントしたのです。
それから5ヶ月、加藤君はそれにメロディーをつけてクリスマスの贈物として光子さんに渡しました。その時以来、この曲は我々の仲間の愛唱歌となったようです。~(以下、省略)」(北山修

 

 

こうして「あの素晴しい愛をもう一度」は作られ、北山修さんが1971年6月19日に25才になる記念にレコードにしよう・・・という感じで本作はリリースされたとの事ですが・・・。

 

初めてこの曲のシングル盤を手にした高校時代、ほんとかなーと思ったものでした。笑

 

だって、結婚の記念に贈るような曲じゃないもん。別れの曲だし。

 

あの時 同じ花を見て 美しいと言った二人の心と心が今はもう通わない~♪ あの素晴しい愛をもう一度~♪

 

・・・結婚の祝いに贈るような曲かぁ???

 

 

後に「あの素晴しい愛をもう一度」のもう一つの成り立ちを知ります。それはシモンズのデビュー曲として作られましたが、出来が良くて気に入ったので、自分たちで歌う事にしたというものです。

 

・・・えっ、どっちなのよさ???

 


はい、結論から言うと、実はシモンズのデビュー曲として作られたけど、自分たちで歌う事にした・・・というのが本当みたいです。

 

ちなみにこうして、シモンズのデビュー曲はあの有名な「恋人もいないのに」(作詞:落合武司 /作曲:西岡たかし/ 編曲:葵まさひこ)になりました。


まず、シモンズのデビュー曲の楽曲依頼をされた加藤和彦さんが北山修さんの自宅の留守番電話に「ラランララン」とメロディーを吹き込みます。その後、北山さんはその曲にのせて詩をつくり、加藤さんの自宅の留守番電話に入れました。
するとそれを聴いた加藤さんから連絡がありました。北山さんは「あの素晴しい愛をもう一度」の歌詞が出来た日、加藤さんが「最高だよ、最高」と言ってはしゃぐ声が今でも耳に聞こえると後に語っています。
加藤さんの作曲が1日、北山さんの作詞が1日という短い時間で出来た曲でした。

 


なるほど、そういうわけだったのかぁ~。
ってか、何で結婚の記念に作ったとか「つくり話」を???

 

はーい、実はこれにも理由があるのです。

 

北山修さんは「フォークルを解散したはずなのに、どうしてまた二人でレコードを出したのか」と質問された時に、納得してもらう理由が必要だったと語っています。

 

加藤が言ったよ。『それじゃ、ミカと結婚するから、その祝いに作ったことにしよう』ってね。別れの詞なのに、むちゃくちゃだ」(北山修

 

というわけで・・・結婚の祝いに作ったという「つくり話」が誕生しました。
Σ(・□・;)

 

 

それと、この曲の録音のきっかけは、東芝音楽工業がフォークルの再結成を図り、加藤さんと北山さんに働きかけた為とも言われています。当時、フォークルの再結成はあり得ないと2人は明言しており、東芝音楽工業に対する抗議の意味を込めて、レコードジャケットの2人はカメラを無視している・・・らしいです。

 

 

発売当時、「あの素晴しい愛をもう一度」はオリコン最高10位、1971年度オリコン年間46位、約24万枚のヒット曲になりました。
後に中学校の教科書に掲載され、合唱コンクールでよく歌われる曲になり、様々な世代に知られるようになりました。
ちなみにわしの通っていた中学校では歌ってまへんが・・・。

 

現在でも時代を超えて、様々な世代に愛され続けている名曲、それが「あの素晴しい愛をもう一度」なのです。わしも大好き。もちろん、歌詞やメロディーも良いのですが、オリジナル・ヴァージョンのスリー・フィンガーのギターとか美しすぎて、たまらん~。ん~。

 

ところで、タイトルですが・・・
あの素晴しい愛をもう一度」ではなく、「あの素晴しい愛をもう一度」が正しいタイトルです・・・!

 

 

 

B面の「僕を呼ぶ故郷」はカメ&アンコー(当時の「オールナイトニッポン」のパーソナリティー、亀渕昭信斉藤安弘からなるコンビ)に提供した曲のセルフカバー。
A面の「あの素晴しい愛をもう一度」は知っているけど、B面のこの曲を知っている人はあまりいないかもしれません・・・。でも、実はなかなかの隠れた名曲。
覚えやすい曲で、時々脳内でサビの「僕を呼ぶよ~♪あの故郷が~♪帰っておいでよと~♪」と流れたりする・・・かもしれません。 

 

 

 

 

 

「あの素晴しい愛をもう一度」加藤和彦北山修

1971年6月19日、大阪毎日ホール「北山修・ばあすでい・こんさあと」より


加藤和彦と北山修 あの素晴しい愛をもう一度(ライヴ)