詩①

10代の頃に書いた詩をいくつか発掘。

 

「漂う」 

青空に雲が一つ浮んでいる

その雲が私の目の前に形を変えながら風に流されて来る  

そして ある時

雲の形が懐かしい人の笑顔に見えた  

その笑顔は優しく私と溶けて行く  

私はやわらかい綿菓子の上を歩く

ここを歩くと地上の嫌なことがどうでもよくなる

この雲の上は宇宙だ  

そう思った時 

私は宇宙にいた  

私は地球を見下ろした  

地球は青く美しく今日も

いくつものめぐり逢いを乗せてまわり続ける

私のまわりはどこも光る星達にかこまれている  

赤い星 青い星 

それからあれは何色かな?  

この数え切れない星の中に

地球と同じ環境の星はあるのだろうか?  

私はこの星達の中にあるような気がする  

あるならば その星の人といつめぐり逢うのだろうか?  

月が見える

月は幻想的な色で私を見ている  

地球も美しい瞳で私を見ている  

月と地球の間で私は漂っている 

 

 

 

「白い部屋」 

ふっと僕の心の中を覗くと 

白い椅子とテーブルがある

そこに君が座っていた  

いつからいるのだろう 

僕は君の前の椅子に座った  

白い椅子 白いテーブル 

白い壁 白い扉  

ここは汚れを知らないのか  

白い扉を開けると 

そこは黒い部屋  

だけど僕は黒い部屋には行かず   

君と白い部屋にいることにしよう  

テーブルの上には入れたてのレモンティー  

その香と君の香が部屋には漂っている  

いつまでも ここにいてもいいんだよ  

僕は君を待っていたと気がついた

 

 

 

「サーカスのゾウ」

サーカスのピエロが死んだのは綱渡りに失敗したからさ  

でも本当にそれだけかな?  

しらけきった会場と観客 

広がるピエロの赤い血  

どうしてピエロが死んだのに誰も騒がないのかな?  

玉乗りの女の子が赤い舞台の上を走っているね  

ほら そして 

いつのまにかゾウさんのお出ましだね  

ゾウさんはピエロの赤い血を吸っているよ  

それも とてもおいしそうにね  

ついにはその大きなお鼻でピエロを吸ってしまったね  

そしたら舞台の上はきれいになったよ  

それで観客は拍手喝采

 

「本棚の後ろ」

本棚の後ろにね 

不思議な世界があったよ  

おいでって手招きする小さな女の子がいるけど   

戻れなくなったら嫌だから行かなかったよ  

でも今にして思えば惜しいことをしたと思うよ  

だからまた手招きして欲しいなと思って   

本棚の後ろを覗いて見たよ  

そしたら今度は違う小さな女の子がいたよ  

でも前に会った女の子じゃなかったから行かなかったよ  

でも今にして思えば惜しいことをしたと思うよ  

ああ 振り返ると後悔ばかりさ  

あの頃は良かったって気がつくのはいつも過ぎ去ってからさ

 

 

「夜」 

テレビを消して電気を消してカーテンを閉めてごらん  

そしたら部屋の中は真っ暗さ  

一つの夜がそこにできる  

でもね それは本当の夜ではないんだよ  

真っ暗の部屋のカーテンを開けたら明るい陽射しが部屋を包む  

ほら やっぱり昼じゃないか  

夜は窓の外も真っ暗なんだよ

 

 

「とみいゆうすけ①」

とにかくいきてきて  

みんなのなかで  

いつもさびしそう

ゆめばかりみていて  

うたがうまれる  

すぐにこたえはだせなくてなやんで  

けいかくどうりにはいきられない

 

「とみいゆうすけ②」

ところがさ  

みてみたら  

いつのまにか  

ゆめのように  

うつろなひとみ  

すぐそこには  

けしごむがある