新文芸坐で「恐竜・怪鳥の伝説」「極悪拳法」を観ました。今年3月に亡くなった渡瀬恒彦さんの追悼上映です。「追悼・渡瀬恒彦 銀幕に刻まれた不死身の役者魂」という特集が5月20日(土)~30日(火)まで開催中です。
「恐竜・怪鳥の伝説」(1977年/東映/監督:倉田準二)
ツッコミどころ満載の東映版パニック映画。あまりにも無茶苦茶な内容で唖然としてしまいました・・・。
カルト映画好きな人にはおススメ。それ以外の人には微妙かも・・・。
わしは案外、面白いと思ったのう。ふぉふぉふぉ。
1977年夏、樹海に入った自殺志願の女性が生還しますが、「巨大な卵」を目撃したことを言って息絶えます。その事をニュースで知った地質学者の芦沢節(渡瀬恒彦)は興味を持ち、富士山麗へと向かいます。
実は芹沢の父は富士樹海での恐竜生存説を唱えていた古生物学者でした。しかし、その主張は認められず、失意のうちに死去しました。芹沢の父も同じ場所でかつて「石の卵」を発見しており、芹沢はどうしても自分の目で真相を確かめたかったのです。
1970年代、日本はオカルトブームでした。ノストラダムスの大予言、日本沈没、UFO、ツチノコ、コックリさん、超能力・・・そして、ネッシー。
一方、東映では・・・岡田茂社長は「洋画のあれ、面白かったから焼き直せ」が口癖でした。というわけで「スターウォーズ」の影響で「宇宙からのメッセージ」(1978年/東映/監督:深作欣二)がつくられました。
では「ジョーンズ」の大ヒットで動物パニック映画が流行れば・・・「恐竜・怪鳥の伝説」という経緯です。
この映画は当時の金額で7億円以上の破格の製作費を投じて製作されました。
しかし、結果は大コケ・・・。
ですが、「恐竜・怪鳥の伝説」は現在では伝説のカルト映画として語り継がれています。あまりにもツッコミどころ満載過ぎてね!笑
プレシオサウルス(恐竜)とランフォリンクス(怪鳥)のバトルも何やらチープで・・・シュールで思わず笑いが・・・。
人が食い殺される描写とかエグい・・・そのわりには内容がグダグダで・・・。シリアスなのかコメディーなのかよくわからない感じになっていて・・・いや、ここまでくるとコメディーなのか?
トラウマになるほど人間造形はリアルですごい。それなのに何故、恐竜と怪鳥はあんなチープな造形に・・・。ってか、恐竜と怪鳥、顔が案外かわいい!?
そんなこんなで日本ではある意味「伝説の映画」として語られるこの映画ですが、何と驚くべき事に海外に輸出されています。しかも海外40ヶ国配給!!!
まさかこの映画を40ヶ国も売りつけるとは・・・東映、恐るべし。
ちなみに海外での大体の評価は・・・「なんて酷い映画だ!!」笑
日本の多くの観客と同じ事を海外の人も思っているのね・・・。
しかし、何故かソビエトでは4870万人動員という記録的なヒット映画に・・・。えええええええええ!!!???
というわけで皆さま、機会があればぜひ・・・。
ある意味、何かすごい映画を観た気分になるかも・・・。
「恐竜・怪鳥の伝説」予告篇
「極悪拳法」(1974年/東映/監督:小沢茂弘)
渡瀬さんは空手2段で実兄の渡哲也さんが「俺より強い」と証言しています。若い頃の渡瀬さんはアクション映画に出演する事が多く、この作品もそのうちの1本。
第一次世界大戦が火ぶたを切った頃、日本の動向を探る為に各国から密偵が送り込まれていました。
軍は密偵狩りを愛国団体・東狼会の創始者・黒田東天(大木実)に命令します。東天は用心棒稼業で気ままに暮らしている稀代の拳法家・桜木鉄拳(渡瀬恒彦)を密偵1人片づけるごとに300円という事で雇います。
いろいろ密偵を倒しますが、それでも日本の作戦が漏れています。そして、実は密偵は東狼会の中にいるのでは?という事になり・・・。
鉄拳は密偵に仕立て上げられ命を狙われる事になります。実は密偵の黒幕は意外な人物で・・・。
この映画で特に注目すべき点は鉄拳とチームを組むのが沢村忠&ガッツ石松というガチの格闘家。ガッツ石松さんはいかにも純朴で、そのままの持ち味を生かしています。一方、沢村忠さんは案外、演技慣れしている!?
内容は無茶苦茶だけど・・・割り切ってみれば楽しい。
渡瀬さんのアクションが熱い、痛快娯楽アクション映画です。
そして渡瀬さん、面相が凶悪。その凄みに震える作品。