文芸坐で「仁義なき戦い」「首領を殺った男」を観ました。今年1月に亡くなった松方弘樹さんの追悼上映です。
「松方弘樹=マグロ」と思っている人もいるかもしれませんね…。笑
シリーズ通しての主演は菅原文太さんですが、他の登場人物達も魅力的に描かれています。というより作品によっては、文太兄貴があまり出てこない場合もあったりします。菅原文太さん演じる広能を狂言回しとした群像活劇という感じでしょうか。ヤクザ映画の代表作「仁義なき戦い」ですが、ただのヤクザ映画ではなく、奥の深〜い観るたびに新しい発見がある作品です。
そうです、「仁義なき戦い」は死んでも別の作品で別の登場人物として再登場するのです。これは松方弘樹さんだけではありません。他にも何人もいます。こういうところにも注目して観るのも「仁義なき戦い」の楽しみ方の一つです。
文太兄貴は死にません。他の人達はどんどん死んでいきます。まぁ…ゾンビの如く、他の作品で蘇りますが。笑
文太兄貴以外で完結編まで死なない人物もいます。金子信雄さん演じる山守組長です。老獪にヤクザ社会を渡り歩く山守組長。なんだかんだで最後まで生き残る。実は影の主役は山守組長じゃないかと思ったりします。金子信雄さん、他にもいろいろ出演してますが、やはり「仁義なき戦い」シリーズの山守組長のイメージが強い。とにかく強烈な個性を発揮しています。存在自体がギャグ(?)のようでありながらも、実はシリーズの鍵を握る人物、それが山守組長。ムムム、恐るべし…!
タイトルは「首領(ドン)を殺った(とった)男」と読みます。
敵対する一家の組長を殺し、18年の刑に服していた宝来蘇鉄(松方弘樹)が出所すると兄弟分の大木戸(夏八木勲)は今や巨大組織・朋友連合の首領になっていました。大木戸(夏八木勲)は18年前の襲撃の時はビビって何も出来なかったうえに、宝来(松方弘樹)が服役中の間に彼の妻を手ごめにしていた経緯があります。その為、宝来(松方弘樹)を最高顧問に受け入れるというのは体裁で実は密かに彼の暗殺を狙っています。
一方の宝来(松方弘樹)はそもそも今更、極道に戻るつもりはなく…
でも、「首領を殺った男」(1994年)の頃は50代で芝居も円熟味があり、まさに渋い大人の男って感じです。元・極道だけど今は心に優しさを秘めた男を見事に演じています。そして何気なく歌ったり、アクションを見せたりとまさに「松方弘樹」の映画。
ラストのかつての兄弟分(夏八木勲)との対決…男対男ですね…!