きょうのまりえちゃん⑥世にも奇妙な物語'17 秋の特別編「夜の声」

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これは飯豊まりえちゃんを応援するコーナーです!笑

 

今回は2017年10月14日(土)に放送された「世にも奇妙な物語'17 秋の特別編」からまりえってぃ(飯豊まりえ)が出演している「夜の声」についてです。

 


世にも奇妙な物語」は1990年から放送されているタモリさんがストーリーテラーを務めるオムニバステレビドラマです。

 

http://www.fujitv.co.jp/kimyo/


夜の声」は手塚治虫原作。
空気の底」というオムニバス短編シリーズに収録されている作品です。
実は僕、手塚治虫先生のファンでして、「空気の底」は中学時代から読んでいました。
今回、こんなマニアックな作品を映像化すると知って、驚きました。
こういう隠れた名作にスポットを当てるなんて、良いですね〜!

 


原作:手塚治虫
脚本:松井周
演出:河野圭太
編成企画:狩野雄太、加藤達也、橋爪駿輝
プロデュース:後藤庸介、上久保友貴

出演:藤原竜也飯豊まりえ小市慢太郎

 

 

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「夜の声」あらすじ
我堀英一(藤原竜也)は大手IT企業のCEO(最高経営責任者)で容赦なく社員の首を切る冷徹な経営者です。
我堀には人知れず行っているストレス解消方法があります。それは週末、ホームレスとしてダンボールハウスで生活する事でした。

 

ある週末、我堀(藤原竜也)はいつものようにホームレスとして生活していました。そんな我堀のもとに、若い女性(飯豊まりえ)が男達に追われて逃げてきます。我堀はその女性を匿います。
男達が去り、我堀は早く帰るようにその女性を促します。しかし、ユリ(飯豊まりえ)と名乗るその女性は我堀のダンボールハウスまで付いてきてしまいます。
我堀はユリを見捨てる事が出来ず、ユリはそのままダンボールハウスに住み着いてしまいます。
我堀は週末になるとホームレス姿になり、ユリとホームレス生活を送り始めます。やがて、2人は惹かれ合っていくようになります。

 

我堀(藤原竜也)は大手企業のCEOの身分を隠し、自分の会社の入社試験を受けるようにユリ(飯豊まりえ)に勧めます。
我堀がユリを面接しますが、ユリは気がつきません。当然の如く、ユリは入社試験に受かり、我堀のもとで働き始めます。しかし、ユリは我堀とホームレスのおじさんが同一人物だと気がつきません。
一方、我堀はユリに対してますます好意を抱きます。
そして、我堀は自分がホームレスのおじさんと同一人物である事を隠してユリにプロポーズしますが・・・。

 

 

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感想(ネタバレあり)
ユリ(飯豊まりえ)が好きなのは、大手企業のCEOとしての我堀(藤原竜也)ではなくて、ホームレスのおじさんである我堀なんですね。ユリは我堀が二重生活を送っている事に気づきません。同一人物なのにホームレスの我堀は愛せても、大手企業のCEOである我堀を愛する事が出来ません。
大手企業のCEOとしての我堀はお金も地位もあります。一方、ホームレスとしての我堀はお金も地位もありません。
しかし、ユリが一緒にいて幸福だったのはホームレスの我堀でした。
すれ違う2人の想いが切ない物語です・・・。

 

大手企業のCEOとしての我堀(藤原竜也)は冷血な人物と思われていますが、実はそうではありません。トップに立つ人間として、プレッシャーと日々闘っているのです。やはり、内面にはストレスが溜まっており、疲れています。
ホームレスという自分と正反対の立場に置かれている人間になる事によって、普段抱えているストレスから解放されようとしているのです。もう1人の自分を演じる事によって、人間らしさを失わない抵抗をしているのではないでしょうか。
ホームレスの我堀は、大手企業のCEOとしての我堀の心の"叫び"から生まれた存在といえるかもしれません。

 

我堀(藤原竜也)はユリ(飯豊まりえ)を説得しようとしたり、突き放したりして、結果的に我堀とユリは結婚します。
しかし、大手企業のCEOである我堀はユリと結婚しても、そこに幸福な結婚生活はありませんでした。
ユリは我堀とホームレスのおじさんが同一人物だと気づかず、後に我堀があのホームレスは自分だったと明かしても信じようとしません。

 

我堀(藤原竜也)とユリ(飯豊まりえ)が口論となった時、我堀はユリがホームレスのおじさんにしか話していないある秘密を口走ってしまいます。
ユリは目の前にいる我堀とホームレスのおじさんが同一人物だとは思いもよりません。ユリは我堀が興信所に依頼して自分の過去について調べさせたのだと思い、怒りをあらわにします。
ユリの我堀に対する不信感は限界に達し、やがて2人に悲劇が訪れます。

 

ホームレスではなく、本来の姿の自分を愛してもらえない我堀(藤原竜也)の葛藤が悲しく胸に迫ってきます。そして、愛するホームレスのおじさんが目の前にいても気づかず、本来の我堀を愛する事が出来ないユリ(飯豊まりえ)も葛藤しています。
ユリは幸福を感じていたホームレスのおじさんとの生活が忘れられません。ユリが求めているのはお金や社会的な地位ではないのです。どうしてもホームレスのおじさんと本来の姿の我堀を比べてしまいます。

 

我堀(藤原竜也)にとって、週末ホームレスを演じる生活は平日の現実とは異なる虚構の生活でした。
しかし、我堀の虚構の生活はユリ(飯豊まりえ)にとってはそうではありません。ユリにとっては、ホームレスのおじさんとの生活こそ、幸福な現実でした。このすれ違いがやがて悲劇をもたらす事になるのです。
しかしこれは決して悲劇だけの物語ではないと思います。
我堀は大企業のCEOとしての生活で精神的に乾いていました。それがユリと出会い、ダンボールハウスで暮らす事によって、潤いを持ち始めます。我堀はユリによって新しく変わり始めたのです。
それゆえいっそう結末に胸が痛みます。

 

この作品は人間の喜びと悲しみ、どちらも描かれています。もちろん原作の手塚作品も良いのですが、映像化された作品も心に残ります。
ぜひ、観ていない人は機会があれば観て欲しいです。

 

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