「天国にいちばん近い島」(1984年12月15日公開/製作:角川春樹事務所 /配給:東映)
監督:大林宣彦
製作:角川春樹
原作:森村桂「天国にいちばん近い島」
脚本:剣持亘
脚色:大林宣彦、小倉洋二
プロデューサー:坂上順、菅原比呂志
助監督:小倉洋二、内藤忠司
撮影:阪本善尚
美術:薩谷和夫
音楽:朝川朋之
音楽プロデューサー:高桑忠男、石川光
照明:渡辺昭夫
録音:林昌平、宮内栄一
編集:大林宣彦
スチール:遠藤功成
主題歌:原田知世「天国にいちばん近い島」
出演:原田知世、高柳良一、根岸徹、泉谷しげる、乙羽信子、高橋幸宏、小林稔侍、松尾嘉代、赤座美代子、小河麻衣子、入江若葉
大林宣彦監督、原田知世主演の角川映画。ほとんどのシーンをニューカレドニアで撮影しました。
この映画が公開された翌年である1985年、ニューカレドニアではフランスの植民地支配に対する独立運動が激化します。映画撮影中の1984年夏の時も、すでに危険な雰囲気があったといいます。
しかし、本作はそういう「政治」や「社会」を何も描きませんでした。その為、公開当時に酷評されたりしました。
大林監督はあえて当時のニューカレドニアの「政治」や「社会」を描かなかったのです。
本作を観ると、ニューカレドニアの自然はとても美しく、素晴らしい国だと思うかもしれません。しかし、その一方で観客は新聞などで流血の独立運動が起きている事を知ります。
こんな南国の楽園のような美しい島で・・・と思い、考えさせられます。
そんなメッセージ性もあるのですが、しかし難しく考えずに、この映画を観て欲しいと思います。
1人の少女の成長物語であり、原田知世さんの魅力が輝いている爽やかな作品です。
当時、ニューカレドニアは日本にとって馴染みのない国でした。
しかし、この映画のおかげでニューカレドニアブームが起こり、日本人観光客が増加したといいます。
桂木万里(原田知世)はドジで根暗な女子高生。
万里は5歳の時に南太平洋に浮かぶ島・ニューカレドニアの名を父・次郎(高橋幸宏)のおとぎ話で知ります。そこは神様のいる天国からいちばん近い島だといいます。
万里にとって「天国にいちばん近い島」はいつか父と一緒に行く約束の場所になりました。
そんな父が突然亡くなります。
万里は自分の目で「天国にいちばん近い島」を確かめたいと思い、母・光子(松尾嘉代)に打ち明けます。
冬休み、万里(原田知世)は1人でニューカレドニア・ツアーに参加します。
島に着いて万里は1人自転車でヌメアの街を見てまわります。しかし、何かが違うと感じます。
万里は街で日系3世のタロウ・ワタナベ(高柳良一)に出会いますが、その時は名前も聞かずに別れてしまいます。
その後、万里は中年の偽ガイド・深谷有一(峰岸徹)と知り合います。
万里から「天国にいちばん近い島」の話を聞いた深谷は万里をイル・デ・パン島に連れて行きます。
しかし、そこも万里が想っている「天国にいちばん近い島」ではありませんでした。
万里はタロウ(高柳良一)を探しに市場に行きます。するとそこでタロウと再会します。
そして、タロウに教えてもらったウベア島に船で向かいます。
果たして、万里の「天国にいちばん近い島」は見つかるのでしょうか‐
う~ん、公開当時17歳の原田知世さんが可愛らしくて眩しい!
何といっても原田知世さんとニューカレドニアの美しい自然がこの映画の魅力です。
ニューカレドニアの観光PR映画なの?と思うほど、ニューカレドニアの良さが伝わってきます。海と空の青さが印象に残ります。
万里(原田知世)がドラム缶のお風呂で泣くシーンが記憶に残ります。このシーンの撮影は苦労したと原田知世さんは後に話しています。
そして、やっぱりラストシーンが良いですね。泣けるし、胸キュン。
原田知世さんの相手役は高柳良一さん。
あ、「大林宣彦」「原田知世」「高柳良一」という組み合わせといえば「時をかける少女」ですね!(といっても、原田知世さんも高柳良一さんも大林組の常連で他の作品にも出演していますが)
高柳良一さんは日系三世のタロウという青年の役。爽やかな好青年。おそらく当時(今も?)、多くの女性ファンの心をときめかしたことでしょう。
そのタロウの父親役は泉谷しげる様で、これまた強烈なキャラで良い味を出しております。
ちなみに万里(原田知世)の父親役はYMO散開(解散ではない)後の高橋幸宏さん。出番は少ないですが、この映画の重要人物。
よーく考えたら(よーく考えなくても?)、16歳の少女がツアーガイドを離れて1人で島をめぐるなんて無茶ですよね。そんな事、実際出来るのー?って思うかもしれません。
それにノコノコと初めて出会った人について行っちゃうし。笑
でも、そんな現実離れした内容でも良いんじゃないかと思うのです。
だってこれは1人の夢見る少女のファンタジー。ステキな旅のお話。
少女にとっての「天国にいちばん近い島」を探す物語。
一緒に「天国にいちばん近い島」を探しましょう。
鑑賞後、何だか暖かい気持ちになる作品です。
こういう映画って、好きだなぁ。
歌:原田知世