1954年の第1作目と2016年の最も新しいゴジラの2本立てです。
原作:香山滋
脚本:村田武雄、本田猪四郎
特殊技術:円谷英二
製作:田中友幸
製作総指揮:森岩雄
音楽:伊福部昭
美術監督:北猛夫
美術:中古智
録音:下永尚
照明:石井長四郎
編集:平泰陳
チーフ助監督:梶田興治
前回も新文芸坐で観ました。というより、幼い頃からビデオで何度も観ており、もはやDNAに刻まれている映画。日本映画史に燦然と輝く、名作です。
本作以降、シリーズ化したゴジラですが、やはり記念すべき第1作目は原点であり、なおかつ他のシリーズとは一線を画しています。
第1作目の「ゴジラ」には戦争の影があります。公開された1954年(昭和29年)は太平洋戦争が終わって9年後。当然、スタッフも出演者も戦争経験者が多い。
1954年、ビキニ水爆実験が行われ、第五福竜丸が被爆した年・・・。
その年に水爆実験によって目覚めたゴジラは公開されました。
水爆実験によって安住の地を追い出された怪獣・・・それがゴジラ。
そう、水爆実験さえなければゴジラは人前には現れず、人間を襲う事もなかったのです。
人間がゴジラの生活環境を奪ってしまったのです。
目覚めたゴジラは東京を襲います。逃げ惑う人達・・・。破壊されていく東京・・・。
ゴジラが去った後に映し出される被災者の映像。それはまるで空襲の後の映像のようで、生々しく、心に突き刺さります。
この時代の人達にとってゴジラはある意味では経験済みの恐怖でした。
数年前に経験した戦争体験とゴジラに襲われる体験は共通した恐怖でもありました。
それは劇中の庶民のセリフからも読み取れます。
「嫌ぁね、原子マグロだ、放射能雨だ、そのうえ今度はゴジラときたわ。もし東京へでも上がりこんで来たら、一体どうなるの」
「せっかく長崎から命拾いしてきた大切な体なんだもの」
「そろそろ疎開先でも探すとするかな」
「あーあ、また疎開か」
ちなみにゴジラが破壊したコースは東京大空襲でB29が通ったコースを再現しているそうです・・・。
そうか、ゴジラが東京を襲う場面は東京大空襲の再現でもあるのか・・・。
ゴジラによって火の海と化した東京。
そこで軒下で幼い子どもを抱えた婦人のセリフが印象深い・・・。
「もうすぐ、お父ちゃまのところに行くのよ」
戦争で夫を失った事がこのセリフからわかります。
ゴジラを倒すことになる化学兵器「オキシジェン・デストロイヤー」を開発した芹沢博士(平田昭彦)にも戦争の影響があり、傷痍軍人を思わせる眼帯をしています。
そして、最後は自ら作った化学兵器を他に悪用されない為に、ゴジラと心中していきます・・・。
この第1作目の「ゴジラ」ってほんとに涙が出るんですよ。
ゴジラは水爆実験が生んだ悲しい怪獣です。それが戦争の爪痕の残っている人間を襲う・・・。何か切ない。ゴジラはまるで東京を空襲の後のような焼け野原にしていきます。そこに映し出さる悲惨な映像・・・。そこに戦争の影が見えます・・・。
ラストシーンの山根博士(志村喬)のセリフがゴジラという存在をよく言い表しています。
「あのゴジラが最後の一匹とは思えない。もし水爆実験が続け行われるとしたら、あのゴジラの同類がまた世界のどこかへ現れてくるかもしれない・・・」
「シン・ゴジラ」(2016年/東宝/総監督・脚本:庵野秀明/監督・特技監督:樋口真嗣)
キャッチコピー「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」
昨年、大ヒットした映画です。とても話題になりましたね。
僕も公開当時、観に行きました。池袋HUMAXシネマズだったかな。
んで、とても面白かったのですが、観た時に違和感を覚えました。
特に形態変化が・・・。最終的にはおなじみのゴジラになるんですけどね。
まあ・・・今回再見して、これはこれで面白いかもしれない・・・って気もしてきました。
第2形態とかブサカワで人気あるらしい・・・。蒲田に出現したから愛称は「蒲田くん」とのことです・・・。
初めて観た時は・・・ってなったけど、そう言われれば可愛い気もしてきます。笑
ゴジラ第2形態「蒲田くん」
本作はエヴァンゲリオンぽいと話題になりましたね。
僕はエヴァンゲリオンに関してはそんなに詳しくないのですが、「シン・ゴジラ エヴァ」で検索すると共通点や似ている点について書いている人が沢山いますね。
そういえば昨年観た時も・・・たぶん友達同士で来ている若者達だと思うのですが「エヴァじゃん」みたいな事を話しているのがチラッと聞こえましたねー。
それを聞いて僕は「あー、やっぱりこれはエヴァなのかなー」と思ったりしたものです。
エヴァンゲリオンを観ている人からすると、ゴジラが使徒に見えるという意見も・・・。
あ、そうか、これが、僕が違和感を覚えた正体なのかもしれない・・・。
それはそうと、いろいろ思うところはありますが、やはり「シン・ゴジラ」はとても面白い作品だと思います。レベルの高いエンターテインメント作品になっています。
公開時、違和感を覚えつつも大ヒットするのも頷ける作品・・・そう思ったりもしました。
本作は怪獣映画の要素だけではなく、パニック映画、政治サスペンス映画にもなっています。政府が日本の危機にどう立ち向かうかが描かれています。そこがリアルだと評価されていますね。
未曾有の想定外の国難であるゴジラが出現した時に、果たしてこの国は機能するのか、そんなメッセージ性も感じます。
それとみんな早口で話すのが特徴。カットも目まぐるしく変わる。
映画を面白くする為のテクニックが見事。
ちなみに「シン・ゴジラ」は第29作目。
では記念すべき第30作目はいつなのかというと・・・
何と今年2017年です!!!
「GODZILLA-怪獣惑星-(第一章)」という作品が2017年11月17日公開予定です!
全三部構成で、しかもアニメ映画らしい。
ムムム、これはまた新しいゴジラ誕生の予感。