あゝ名盤 アルバム編②「岡林信康 自作自演コンサート 狂い咲き」岡林信康

岡林信康  自作自演コンサート  狂い咲き」岡林信康

URC/1971年7月28日、日比谷野外音楽堂にて録音/1971年11月20日発売)

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SIDE.1

1.くそくらえ節 作詞・作曲:岡林信康 /補作・鈴木孝雄

2.がいこつの唄 作詞・作曲:岡林信康

3.友よ 作詞・作曲:岡林信康

4.山谷ブルース 作詞・作曲:岡林信康

5.流れ者 作詞・作曲:岡林信康

6.チューリップのアップリケ 作詞・作曲:岡林信康

 

SIDE.2

7.手紙 作詞・作曲:岡林信康

8.ヘライデ 原曲:ハバマ民謡 /編曲:北山修 /ことば:北山修高石ともや岡林信康、その他

9.今日をこえて 作詞・作曲:岡林信康

10.それで自由になったのかい 作詞・作曲:岡林信康

 

SIDE.3

11.自由への長い旅 作詞・作曲:岡林信康

12.おまわりさんに捧げる唄 作詞・作曲:岡林信康

13.性と文化の革命 作詞・作曲:岡林信康

14.私たちの望むものは 作詞・作曲:岡林信康

15.愛する人 作詞・作曲:岡林信康

 

SIDE.4

16.君を待っている 作詞・作曲:岡林信康

17.コペル二クス的転回のすすめ 作詞・作曲:岡林信康

18.絶望的前衛 作詞・作曲:岡林信康

19.いくいくお花ちゃん 作詞:佐藤信 /作曲:岡林信康

20.堕ちた鳥のバラード 作詞:佐藤信 /作曲:岡林信康

21.だからここに来た 作詞・作曲:岡林信康

 

SIDE.5

22.ゆきどまりのどっちらけ(1970年12月) 作詞・作曲:岡林信康

23.俺らいちぬけた 作詞・作曲:岡林信康

24.仲のいい二人 作詞・作曲:岡林信康

25.偉いもんだよ人間は 作詞・作曲:岡林信康

26.毛のないエテ公 作詞・作曲:岡林信康

27.つばめ 作詞・作曲:岡林信康

 

SIDE.6

28.家は出たけれど 作詞・作曲:岡林信康

29.人間の条件 作詞・作曲:岡林信康

30.申し訳ないが気分がいい 作詞・作曲:岡林信康

31.今日をこえて(アンコール) 作詞・作曲:岡林信康

32.私たちの望むものは(アンコール) 作詞・作曲:岡林信康

 

 

 

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高校・大学時代、よく聴いた思い出のライブ盤です。

このライブ盤は1971年発売当時LP3枚組でした。

岡林さんが初めてオリジナル曲を作った1967年から1971年までに作った曲を作った順番に歌うという内容です。全32曲収録。

 

ところが、1992年にCD化された時は「ヘライデ」という皇室をパロディーにした曲がカットされていました・・・。

「問題の歌」だからってLPで収録されていた曲をCDではカット・・・何だか臭い物に蓋をする・・・そんな感じがしますね。

しかもLPでは3枚組だったのを2枚組に再編集されていました。

 

僕が高校生の時に聴いていた「狂い咲き」はこの1992年復刻盤でした。

高校1年か2年の時に買ったので・・・2003年か2004年頃かな。

当時は岡林さんのCDの大半は廃盤で入手困難でした。

しかし、何故かURC時代の作品は「わたしを断罪せよ」と「狂い咲き」は入手可能でお店で販売されていました。

何で?笑

 

そんなわけで僕が高校時代に聴いていた「狂い咲き」は不完全な内容だったのですが、よく聴いていました。ライブ音源ですが、初期のURC時代の岡林さんの楽曲がほぼ収録されているので重宝したものです。今思えばURC時代の総決算的なライブ盤という感じがします。

 

2008年の再販の時はカットされた「ヘライデ」が収録され、当時のLPを忠実に再現した紙ジャケ3枚組として復刻されました。こうして、ようやく完全盤の「狂い咲き」が聴けるようになりました。

 

高校時代は入手困難な作品が多かった岡林さんですが、2008年から再販・復刻ラッシュで今では1960年代後半から2010年代まで様々な音源が聴けるようになりました。

時代は変わりました。

 

 

さて、「狂い咲き」の内容ですが・・・

 

1971年7月28日、日比谷野外音楽堂にて行われたライブを収録しています。午後5時30分開演。

 

まずは岡林さん、1人で登場。少し緊張している様子でMCの後、1曲目「くそくらえ節」をアコースティックギターで弾き語り。

1曲目「くそくらえ節」から8曲目「ヘライデ」までは岡林さんのギター1本の弾き語り。

 

「友よ」は学生運動が華やかだった時代の象徴のような曲。1968年、69年頃のデモ活動や政治集会のテーマソングのようになっていました。みんなで大合唱!という感じで様々なライブ音源が残っていますが、この「狂い咲き」では岡林さん1人でしんみり、歌います。「友よ」歌う前の岡林さん、何だかテレ臭そう。

71年の時にはすでに「友よ」は本人にとって過去の歌・・・という感じ。2年前のような「友よ」ではなく、大合唱は起きません。時代は変わっている事を感じさせます。

 

「フォークの神様」と呼ばれた岡林さん。本人にとって不本意なレッテルでした。

本人の意思とは関係なく独り歩きしていった楽曲たち・・・。岡林さんの最も初期作品の8曲目までは特に・・・。

 

 

9曲目「今日をこえて」からバックバンドが登場します。ここから最後までロックスタイル。

 

バックを務めるのは岡林さんのオリジナルアルバム「俺らいちぬけた」(1971年8月1日発売)にも参加している柳田ヒログループ。

 

柳田ヒロ:ピアノ

戸叶京介:ドラム

高中正義:ベース

 

柳田ヒロさんは日本のロック黎明期を支えたミュージシャン。岡林さん以外にもいろんな人とセッションしているので、70年代フォークやロックを聴いているとよく登場してきます。

 

戸叶京介さんは・・・よくわかりません。70年代初頭のニューロック系の作品に時々名前がありますが・・・。んー、それ以降は謎です。

 

高中正義さんは後に有名なギタリストになりましたね。

ですが、「狂い咲き」では本人にとって不本意な事ですがベースを弾いています。

バンドの構成でベースを弾く人がいなかったので、柳田ヒロさんが無理やり高中正義さんにベースを弾かせたそうな・・・。

ちなみにスタジオ録音の岡林さんのオリジナルアルバム「俺らいちぬけた」(1971年8月1日発売)ではステージでの鬱憤を晴らすかの如く、ギターも弾きまくっています。

ちなみに高中正義さんは何と当時18歳!

 

 

9曲目「今日をこえて」から岡林さんはエレキギターに。すごく、かっこいいギターソロとかないです。笑

ひたすらストロークでシャンシャン弾いているだけ。笑

 

柳田ヒログループは容赦なく(?)、各々演奏で自己アピール。リーダの柳田ヒロピアノはもちろん、荒れ狂う戸叶ドラム、そして、ギターを弾かせてもらえない鬱憤なのかまるでリード化する熱狂の高中ベース。

 

岡林さんもバックのみんなに負けず、大熱唱!

歌詞間違えたり、歌う曲順を間違えたりしますが、それもしっかり収録。

なんせ3枚組ですからね。ボーリュームたっぷりで様々な模様が入っています。

MCもたくさん収録されているのが嬉しい。とにかくMCが面白い。

 

そして、圧巻はやっぱりラストの「私たちの望むものは」の大合唱。初めて聴いた高校時代、鳥肌立ったのを覚えています。うーむ、熱いぜ。

 

 

このライブ盤はとても時代を感じさせます。あの時代のあの瞬間だけが持っていた空気感があります。

1971年7月28日、日比谷野外音楽堂の生々しい記録が刻まれている名盤です。

 

 

 

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