甦る映画魂 石井輝男「監獄人別帳」

シネマヴェーラ渋谷で「監獄人別帳」を観ました。

「甦る映画魂 石井輝男」というキング・オブ・カルトの異名を持つ石井輝男監督の十三回忌追悼特集です。

 

監獄人別帳」(1970年/東映/監督:石井輝男

この作品の前に石井輝男監督は渡瀬恒彦さんのデビュー作「殺し屋人別帳」(1970年/東映)を撮りました。

そして、今回観た「監獄人別帳」となり「人別帳シリーズ」という流れなのですが、両作品に特にストーリー的な繋がりはありません。

殺し屋人別帳」を観た時も思ったんですが、デビューしたばかりの渡瀬さんってかわいい顔していますね。笑

ちなみに「殺し屋人別帳」「監獄人別帳」どちらも渡瀬さんが主題歌を歌っています。

 

さて、「監獄人別帳」の内容ですが、なんか前半「網走番外地」(1965年/東映/監督:石井輝男)ぽい。舞台も網走だし。笑

 

ってか主人公の名前、橘真一って「網走番外地」と同じじゃない・・・?

 

そうか、これは「網走番外地」のリメイクなのか・・・ふむふむ。

っと思ったら途中からそうじゃないぞ、ムムムとなってきます。

 

佐藤允さんが大活躍しています。というより、この映画の渡瀬さんより主人公ぽい。

 

悪徳警察署長・岩倉(沢彰謙)に父親を殺された吉岡(佐藤充)が復讐を果たす物語がこの映画の軸になっています。吉岡(佐藤允)の母・お銀役は清川虹子、妹・珠枝役は賀川雪絵、弟・秀役は尾藤イサオとなっており、ファミリーで仇討ちをする為に網走にやって来ます。

 

真一(渡瀬恒彦)の物語もあるけれど・・・巻き込まれて一緒に脱獄。結果的に吉岡(佐藤允)ファミリーの復讐に協力という流れ。

 

網走番外地」と違って女囚が登場、活躍します。ゆえに中盤、男女乱れてドンチャン騒ぎしたりします。

 

ギャクもすごいぞ。特にウ〇コと入れ歯シーンは必見!!!

 

後半の雪山でのアクションシーンは圧巻。過酷なロケだったんだろうなぁ・・・。

見渡す限りの雪・ゆき・ユキ。

特に今回、ニュープリントという事で景色が鮮やか。

 

それと個人的に最も注目して欲しいのは八人殺しの鬼寅を演じるアラカン嵐寛寿郎)ですね。おいしいところをみんな持っていっちゃう超強烈な存在感を発揮しています。

真一(渡瀬恒彦)と吉岡(佐藤允)がピンチになったら現れる。さすが鞍馬天狗のおじさん。あ、違った、鬼寅か。笑

 

最後までわくわくどきどきして、泣き笑いありの面白い作品でした。観客みんな笑っていましたね。

ご都合主義もまあ良いかと思わせる石井輝男の世界。

あゝ・・・恐るべし。